腕時計のオーバーホールについて

腕時計を長く使うには、定期的なオーバーホールが必要です。特に高級腕時計を購入する際には、考えておかなければなりません。では、なぜオーバーホールが必要なのか、オーバーホールをおこなう頻度や費用について解説していきます。

この記事は約6分で読み終わります。

腕時計のオーバーホールの必要性

オーバーホールとは、腕時計を分解してメンテナンスをおこなうことです。腕時計の内部には細かなパーツがたくさんあります。特に機械式時計はゼンマイを使って動かす仕組みなので、構造が非常に複雑です。

また、上手く動くようにするため、パーツ同士が擦れ合う部分に油も塗っています。長年にわたって使っていると、油が酸化したり蒸発したりするため、パーツが摩耗してしまうこともあるでしょう。オーバーホールに出すことで、摩耗したパーツを交換したり、油を塗り直したりしてもらえます。

腕時計のオーバーホールの必要性

オーバーホールとは、腕時計を分解してメンテナンスをおこなうことです。腕時計の内部には細かなパーツがたくさんあります。特に機械式時計はゼンマイを使って動かす仕組みなので、構造が非常に複雑です。

また、上手く動くようにするため、パーツ同士が擦れ合う部分に油も塗っています。長年にわたって使っていると、油が酸化したり蒸発したりするため、パーツが摩耗してしまうこともあるでしょう。オーバーホールに出すことで、摩耗したパーツを交換したり、油を塗り直したりしてもらえます。

大切に使っている腕時計なら、オーバーホールで具体的にどんなことをするのか詳しく知っておきたいでしょう。

オーバーホールの手順としては、腕時計を分解して細かなパーツに分別。腕時計内部のパーツ1つ1つの状態を見て行き、劣化しているパーツを探します。劣化していないパーツも汚れていることが多いです。汚れを取り除くため、各パーツを洗浄します。

腕時計のパーツは非常に小さく、長年の汚れが溜まっているため、洗浄はかなり時間のかかる作業です。1度洗浄するだけでなく、使用する薬品や洗浄方法を変えて複数回にわたっておこないます。

洗浄を済ませた後は組み立てです。分解前の状態を復元します。全部のパーツを分解している場合には、組み立てはかなり高い技術を要する作業です。組み立てる過程で油も塗っていきます。洗浄しているため、古くなって酸化した油も全て洗い流されている状態です。新しい油を塗ることで、新品時と同じような状態にできます。

油を塗るのも、技能士の技術力が大きく影響する作業です。塗る油の量は多すぎても少なすぎてもいけません。熟練の技能士はちょうど良い量の油を非常に小さなパーツに的確に塗って行きます。

組み立て後はタイミング調整です。タイミング調整をおこなわないと、時間に大きなズレが生じてしまいます。1日に生じるズレが5秒以内であれば、かなり精度が良いといえるでしょう。1日のズレを5秒以内にタイミング調整するのは非常に細かく大変な作業です。

新品仕上げもおこないます。新品仕上げとは、腕時計のベルトやケースの部分を磨いて新品のような状態にすることです。ベルトやケースも洗浄していますが、長く使っている腕時計だと細かな傷が目立つこともあります。磨き上げることで細かな傷などがあっても新品時と差のない状態になるのです。新品仕上げをする前と後とでは、素人目で見ても違いがはっきりと分かるでしょう。

きちんと仕上がっているかどうか確認するため、行うのが防水テストや持続時間テストです。実際に圧力を加えてみて防水性をチェックし、巻き上げをして正常に時間を刻むかどうかチェックします。持続時間テストは数日にわたって行うのが一般的です。

最後にケースとベルトを取り付けて、検品をおこない、不備がないことを確認してから持ち主に返します。

高級腕時計を使っている人は、定期的にオーバーホールに出しているわけですが、人によってオーバーホールに出す頻度に差があります。2、3年に1度くらいの頻度でオーバーホールに出している人もいれば5年に1度くらいの人もいるでしょう。

不具合が生じるまでオーバーホールには出さない人もいます。中には止まるまでオーバーホールは必要ないと考えている人もいるかも知れません。時計修理店でも推奨しているオーバーホールの頻度はおおむね3年から5年くらいの間でまちまちです。腕時計メーカーでもやや差があり、短い所だと2年、長いところだと5年を推奨しています。

オーバーホールに出す頻度が低ければ、費用があまりかかりません。しかし、パーツが摩耗しやすく、時計に負担がかかる状態に置かれてしまいます。正確に時間を刻まなくなるなど、目に見える不具合が出る場合には、パーツの摩耗が激しく、かなり負担がかかっていることが多いです。

パッキンもボロボロになっていて、防水機能が損なわれてしまっていることがあります。腕時計を長持ちさせるには、3年に1度のペースでオーバーホールに出すのが望ましいでしょう。使い方や使用環境によってパーツの摩耗具合が異なりますが、3年に1度のペースなら、大きな不具合が生じる前に対処できます。

費用の面で3年に1度オーバーホールに出すのが厳しい場合には、5年に1度くらいでもさほど問題ありません。ただ、5年に1度を下回る頻度だと、あまり長持ちしないことが多いです。前回のオーバーホールから5年を超えてしまうとパッキンが確実に劣化していて、部品に塗ってある油も酸化しています。前回のオーバーホールから3年経過後5年経過までは様子を見て、不具合が出て来たらオーバーホールに出す人も多いです。

また、目に見える不具合が生じた場合には、前回のオーバーホールからの経過年数にかかわらず、すぐに出すようにしましょう。不具合が出ている状態で使い続けると、時計に大きな負担をかけ、寿命を縮めてしまいます。

腕時計のオーバーホールの費用

オーバーホールを依頼できる業者は、メーカーの他にもいくつかあります。町の時計店や時計修理専門店などです。メーカーに依頼する際の費用の相場は2万円から5万円くらいです。パーツの交換が必要になった場合には、パーツ代としてさらに費用がかかります。1回のオーバーホールで7万円から8万円ほどかかるケースも珍しくありません。

町の時計店や時計修理店では、店舗によって差がありますが、メーカーよりも安くオーバーホールしてもらえます。メーカーのオーバーホール費用と比べて7割から8割程度の費用で済むところが多いです。海外ブランドの方がメーカーと町の時計店で差が出やすく、町の時計修理店だと半分くらいの費用で済むこともあります。

オーバーホールに出す際には、費用の安い時計店を見つければいいわけではありません。信頼できる技能士がいる時計修理店に依頼するのが望ましいです。激安を謳っている時計修理店の場合には、オーバーホールの工程の一部を省略している可能性もあります。どの時計修理店が信頼できるのか分からない場合には、多少高くてもメーカーに依頼するのが賢明でしょう。

腕時計のオーバーホールは車で言うところの車検に近いものです。特に不具合がなくても、定期的にオーバーホールに出すようにしましょう。長年使っていると、一見正常に動いているように見えても、内部のパーツが摩耗しています。油も酸化したり蒸発したりしているでしょう。オーバーホールの依頼先は必ずしもメーカーでなくも問題ありませんが、信頼できる業者に頼むのが望ましいです。

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