KARITOKE編集部
今回は、登録者5万人超えの人気腕時計YouTuber「腕時計のある人生RY」さんにお話を伺いました。
RYさん自身がいろんな持ち物にこだわってきた中で、最もハマったのが腕時計。
普段は船長として船の上で仕事をされていますが、海外を飛び回る生活を送る中で、腕時計YouTuberとして活動するまでに腕時計にのめりこんだ理由とは?
今回はそんな腕時計のプロにオススメのモデルや、腕時計のある生活をもっと楽しむコツ、時計の選び方などについて語っていただきましたので、ぜひご覧ください。
・腕時計にハマったきっかけ
大学生の時に20歳を迎えて、成人になった記念に何か欲しいなと思ってPaul Smithのファイナルアイズという時計を自分で購入しました。
当時クォーツ式で44,000円でしたが、当時のアルバイトの給料が1ヶ月で45,000円程だったので、震えながら購入したのを覚えています(笑)
その時計はあくまで身だしなみというか、出かけるときに何となく着けるような感覚で、高級腕時計に対してはキラキラしてかっこいいなっていうぐらいの印象でした。
22歳で就職し、船に乗って海の上で勤務する仕事を始めたんですが、高級時計自体は当時まだ興味の対象になかなかならず、スーツ、車、服を購入していましたね。
高級時計って、40mmぐらいのサイズ感の物なのに数十万円もするんですよね。
世の中の時計好きの方々がそんな金額を払って購入する意味が正直当時の自分には全くわからなくて。
その後25歳のタイミングで就職して3年が経過したんですが、何か自分を祝いたいなという気持ちになって、ブランド腕時計のことを思い出しました。
買ってみれば分かるかもしれないという気持ちもあったので、今回は時計にしてみようと。
そこで尊敬していたオーストラリア人の上司に相談してみたところ、その方自身も所有していたROLEX サブマリーナ ノンデイトをオススメしてくれました。
上司はジェームズボンドが好きで、サブマリーナのノンデイトを所有していて、その憧れの人物とその時計についてとにかく熱弁してくれました(笑)
ロレックスは金額ももちろんですが、どことなくバブリーなイメージもあって自分にはまだ早いと思いましたが、調べていくうちにかっこいいなと思って正規店に通いはじめました。
すると不思議なもので、どんどんのめりこんでしまって、欲しくなっていったんですよね。
腕時計のものとしての寿命の長さ、歴史的な意味での時間軸の長さ、商品背景やストーリー、それぞれの時計の物語の豊富さに触れて、時計の魅力を知ることができました。
そして通い始めて3ヶ月程が経過した26歳の時、海外へ行くためのフライトの前に寄った空港のロレックス正規店にまさかの入荷があり、70万円で購入することができました。そこから僕にとっての「腕時計のある人生」がスタートしました。
・腕時計を購入した後の変化について
ロレックスのサブマリーナを購入したことで、日々のQOL(生活の質)がすごく向上しました。
元々車が好きで、車に憧れがあったんです。
なので、就職して1年目に車を購入したんですが、時計には車以上の喜びがありました。
車に乗るのは1年のうち時間で言うと10%ぐらいなんです。なんというかもちろん素敵なんですが、どちらかというと移動の手段みたいな感覚。
その点、時計は毎日つけていられるんですよね。
車はよくて10~20年ぐらいでガタが来ることが多いと思うんですが、時計はメンテを行うことでずっと着けられる。
そこに金額以上の価値を感じましたね。
YouTubeチャンネル上で大事にしていること、方針、コンセプト
腕時計好きの人口を増やしたいといった目的でスタートしました。
腕時計は毎日の生活に豊かさをプラスしてくれると感じているんですが、パソコンやスマホでいつでも正確な時間を知ることができる現代では必需品ではないですし、腕時計をしない人も多いですよね。
「腕時計ってこんなに素晴らしいのに」と少し悔しさのようなものもあります。
なので、腕時計の素晴らしさを伝えていきたいですし、広めていきたいと思っています。
チャンネルの運営で大事にしていることは2つあります。
1.とにかく分かりやすくかみ砕いて情報を発信する
私が25歳の時に腕時計について調べ始めた時に思ったことは、腕時計ってブランドや専門用語がたくさんあって難しいということでした。これが一つの壁になっていると感じています。
それと、腕時計好きの年齢層って割と高いイメージがあるかと思います。これも若者が興味を持ちにくくなっている一つの要因ではないかと感じています。
なので、それこそ10代のような若い方からでも時計に興味を持ってもらいやすいように、とっつきやすいと思ってもらえるように、専門誌のような難しい内容ではなく、とにかく分かりやすく、時には表やグラフも交えて情報発信するように心がけています。
2.時計の魅力+の知識も得られるような情報発信をする
時計を紹介するのはもちろんですが、スペックなどの表面的な知識やレビューだけにならないように発信することを心がけています。
その時計が誕生した年代には他にどんな出来事があったのか、どんな時代に生まれたものだったのかという部分を紐づけて、その時計のバックボーンやストーリーまで深掘りしたり、どういう服装で着用したいかというところまで話すようにしています。
腕時計単体で完結させずに、広がりを持って楽しめるようなコンテンツ作りを心がけています。
今チャンネル登録者数が5万人を突破し、今後10万人に到達したら、その記念に自分にとっての夢の時計であるA.LANGE&SHNE ランゲ1かPATEK PHILIPPEのカラトラバのどちらかを購入しようと思っています。
自分自身も楽しみながら、これからもたくさんの方に腕時計の良さを広めていきたいと思っています。
・思い入れのある時計とその理由
SEIKO SKX007
僕が3本目に購入した時計です。
2本目に購入したサブマリーナは機械式で、高級だし盗難も怖いし、いくらその耐久性を信用しているといっても、海上勤務にはあんまり持っていきたくないんです。
やっぱり、高級な物はそれだけ扱いも慎重になってしまいます。
そこで、勤務中に船の上で使える機械式時計が欲しいと思って購入したのがSEIKO SKX007です。
この時計は通称ブラックボーイと呼ばれていて、セイコーを代表するモデルとして世界中で認知されているんですが、ダイバーズウォッチの中でもとにかく安く、17,000円程で購入しました。
僕は1年の半分以上を船の上で生活しているので、このSEIKO SKX007と過ごす時間が一番長いです。
職業上ハードな業務が多い中、いろんな厳しい状況下を一緒に乗り越えてきました。
購入から2年後くらいに精度が落ち始めたんですが、この時計と共に仕事をしてお金を稼ぎ、そのお金で更なる時計を購入することができているという風に捉えているので、僕の時計生活の礎となる1本です。
精度が落ちたことをきっかけに一度弟に譲ったんですが、やはり思い入れがあったので一度返してもらって、別のセイコーのダイバーズウォッチをプレゼントしました(笑)
・気に入っている腕時計
VACHERON CONSTANTIN オーヴァーシーズ
2020年に30歳を迎えるタイミングで背伸びをしてこんな時計が似合う大人になっていきたいという気持ちで購入しました。
正規店で予約して240万円程度で購入したんですが、今ものすごく高騰していて、新品だと1100万円で出品されているものもあります。
オーヴァーシーズは海外を旅するトラベラーズウォッチという背景が自分の職業とも重なって、そのコンセプトがすごく気に入りました。
文字盤のブルーが自分のアイコンである海を連想させてくれますし、その鮮やかさは今まで色んな時計を見てきた中で一番きれいに映りました。
Grand Seiko 44GS 1968年製 ヴィンテージウォッチ
これは2021年、31歳の時に購入しました。
グランドセイコーのことを調べているときに、日本人として1本は持っておきたいと思えるぐらいその背景と技術力に感動しました。
ただ、現行モデルはどれも自分には分厚くて大きいと思っていたところ、京都のお店がネット上で出品しているのを見つけました。
これは1967-68年のたった2年間しか作られていないモデルで、GSの今のデザインの基となった時計で凄くレアでして。
当時、手巻きで世界最高精度を誇っていた時計でサイズ感も僕にとってピッタリでした。
この時計は、僕にとって初めてのヴィンテージ&ドレス&手巻きといった初めてづくしで、時計好きとしての視野を広げてくれると共にたくさんの経験を積ませてくれた時計です。
鏡でできているのかってくらいキラキラ光るんですよ(笑)
55年前の販売当時は24,000円(当時の大卒初任給が約26,000円)でしたが、購入時は箱・保証書なしの中古で37万円でした。
先日行われたフィリップスのオークション(世界三大オークションハウスのうちの一つ)では、同モデルの良品で付属品もそろった物が約730万円で落札されていたんです。
僕が「37万円で買えるわけがない。もっと評価されるべき時計」だと思っていたんですが、目に見える形で世界の時計好きがその価格で購入していたことを知って嬉しくなりました。
もちろん金額だけで時計を語るわけではないですが、やっぱり物にはそれぞれの価値があって、そこにはストーリーが存在しています。
今でも愛用しているお気に入りのドレスウォッチです。
OMEGA シーマスター ダイバー300M セドナ(ローズ)ゴールド
2022年の元旦に開封動画を出しているんですが、今年購入した時計です。
これは船の上で使う時計として購入しました。
セイコーのSKXの精度が落ちてきたことによって、G SHOCK等の時計も試したんですが、なかなか自分にとってコレ!と言える時計に出会えてない中で、海の上で使うことができる時計として購入したモデルです。
購入して約1ヶ月間、海上で使ったんですが大満足です。
見た目のデザインがとにかくかっこいいんですよね。
自分にとってゴールドの入った初めてのコンビモデルを使うことで、ゴールドの良さを実感しました。
まるで自分が優雅な船旅に出てると感じるようなエレガントさと、船の上で使えるタフな性能は僕の生活にはピッタリとハマりました。
また、これを購入したことでサブマリーナとシーマスター300M
という新旧ジェームズボンドウォッチが手元に揃いました。
実はサブマリーナーを購入する前にそのオーストラリア人の上司から007 ジェームズボンドの話を聞いて、映画を全て見返したんです。
ジェームズボンドは仕事を華麗にこなしながらも、車やスーツ、時計などの私物にこだわりをもったキャラクターとして描かれていて、回が進む毎にボンドカー、ボンドスーツといったところにどんどん目が行ってしまって(笑)
そういったこだわりが自分とリンクして、かっこいいな、いつか揃えたいなという思いが実現したのも嬉しかったです。
・好みのデザイン、ブランド、色、ベルトの種類
その時計のヒストリー、背景の豊かさに1番惹かれるんですよね。
急に人気に火が付いたような時計には僕はあまり興味がなくて。
歴史の中でその時計がどういう意味を成しているか、どんなストーリーがあるのかという部分に1番惹かれます。
例えば、僕がグランドセイコーの44GSを選んで購入した理由は、60年以上続くグランドセイコーの歴史の中で、44GSが最も歴史的意義が深いと思ったためです。
ロレックスのサブマリーナも、「世界初のダイバーズウォッチ」という歴史的意義に強く惹かれています。
ブライトリングのナビタイマーも、パイロットウォッチといえばナビタイマーと言えるぐらい、唯一無二のアイコニックなデザインと機能を持つ歴史的時計だと思います。
結局は、どれだけその時計に語れる要素があるかどうかが一番刺さります。
他には、所有している時計を全て目立たせたいので、出番を与えるためにキャラ被りをしないようにジャンルを選んでいます。
自分の所有していないカテゴリーから購入したい時計を探すんですが、そういった点から「ジャンル選びはロジカルに、モデル選びはバックボーンを感じるエモーショナルな要素」を重視しています。
・カリトケに対しての印象と使ってみた感想
高級時計は気軽に買うことができないので、購入を検討するときにすごく参考になりますね。
購入する前に実物を見ることができるのは店舗でも同じですが、実際に腕につけて私生活の中で体験できる点がすごくいいと思いました。
店舗で時計にラップが重ねられた状態かつ照明下で見るのと、きちんと日常生活で体験して日光にあてて文字盤を見るのでは時計の見え方は全く違いますし、私生活の中で実際に試せるのは凄く価値があります。
実際に、Apple Watchは試してから購入させていただきました。
購入の検討以外でも、いろんな時計を交換しながら使えるのは魅力ですし、保証も充実しているので、僕の場合は逆に借り物だからこそ気を遣わず使える側面もあったり。
もちろん壊したり紛失には気を付けないといけないですが(笑)
・カリトケで今後借りてみたい腕時計
IWC パイロット マーク18 ブラック
自分のコレクションの中で、気軽に着けていける時計が少ないんですよね。
GS44は水に弱いですし、オーヴァーシーズやサブマリーナは傷つけるのも怖くて、日本に帰ってきているオフのシーズンでしか気軽につけていくことができないんです。
旅行にいったりするときに気軽に着けれるような、耐久性が高くて三針スポーツモデルの「旅時計」的なモデルが欲しいと思っています。
店舗で試着して着け心地がすごく良かったので、一度借りてみて購入を検討したいです。
IWC ポルトギーゼ クロノグラフ ブラック
今後購入を検討している夢の時計も、GS44も白もしくはシルバー文字盤で、僕の所有しているドレスウォッチの時計の系統がすべて白系統なんです。
そこでダークトーンのドレッシーな時計があると、使い分けとして生きてくるなと考えていたところ、このシックなブラックが刺さりました。
このパイロットウォッチとポルトギーゼは今の自分のコレクションの中で隙間を埋めてくれる存在になるのでは、とひそかに期待しています。
・自分にとって腕時計とは
「形見」です。
腕時計のある人生というタイトルにもある通り、腕時計は僕にとって自分の人生を表す記念碑であり、人生を一緒に歩んでいくもの。後世に受け継いでいくことができるものです。
それぞれの時計が持つ歴史の部分も合わさって、形見という言葉が一番しっくりきます。
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