自動巻き腕時計とは?仕組みや魅力、使い方等について解説

ブランド腕時計の多くは電池を使わずゼンマイで動く機械式時計です。現在主流なのは自動巻き腕時計といって、腕に付けて使っていると自動的にゼンマイが巻かれます。ここでは自動巻き腕時計の仕組みと正しい使い方について解説して行きます。

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自動巻き腕時計の仕組みとは?

機械式時計はゼンマイを巻き上げることで動く仕組みです。ゼンマイを巻き上げる方法により、機械式時計は手巻きと自動巻きに分かれます。

手巻きの方は構造がシンプルで、発明されたのも先です。手巻き時計の後に自動巻き腕時計が発明されました。現在においては、手巻き時計はあまり主流ではありません。機械式時計全体を占める割合は自動巻き腕時計の方が遙かに大きいです。男性用の高級腕時計のほとんどが自動巻き腕時計だと捉えていいでしょう。自動巻き腕時計のことをオートマチックと呼ぶこともあります。

我々が普段日常生活を送る際に、腕を動かす機会はかなり多いでしょう。仕事をするときにも遊びに行くときにも、無意識のうちに何度も腕を動かしています。腕時計を腕に装着して通常通り日常生活を送れば、腕の動作に合わせて自然と腕時計が振られるのです。

自動巻き腕時計は、装着時に自然と腕時計が振られることを利用して、ゼンマイを自動的に巻き上げます。

装着時に自動的にゼンマイを巻き上げる仕組みは錘が回転する力です。自動巻き腕時計には、ローターという金属製で半円の形をした錘が入っています。腕時計を動かすと、ローターが回転して歯車にローターの動きが伝わる仕組みです。

ローターは基本的に重力に引かれて上から下に向かって動きます。自動巻き腕時計は重力を動力源にしていると言えるでしょう。ローターは半円の形をしていることから、腕を少し動かしたり腕の向きを変えたりするだけで何度も動きます。

機械式時計のほとんどは、切り替え車という歯車が付いていて、ローターがどちらの方向に回っても対応できる仕組みです。切り替え車に伝わった動きは、角穴駆動車に伝わり香箱真を回すことでゼンマイを巻き上げます。切り替え車方式といって自動巻き腕時計で主流になっている構造です。

他にマイクロローター方式とラチェット方式、遊動車方式があります。マイクロローター方式は、切り替え車方式よりも小さなローターを使用した構造です。ラチェット方式は、少しの動きでも動力に変えやすく工夫を凝らしています。遊動車方式はローターの回る方向で動きを伝える歯車を分けた作りです。

どのタイプの自動巻き腕時計も毎日装着していなければ止まってしまいます。しかし、複数の腕時計を持っている人もいるでしょう。休日には腕時計を使わない人も多いです。そのため、ワインディングマシーンという道具があります。自動巻き腕時計を置くだけでゼンマイを巻ける道具です。

また、腕時計によっては、どの程度までゼンマイが巻いてあるかどうか視認できるパワーリザーブという機能が付いているものもあります。

自動巻き腕時計の歴史

初の自動巻き腕時計が誕生したのは1920年代です。それまでは手巻式がベースでしたが、動力が不足する度にぜんまいを手で巻く必要があるという煩わしさは、腕時計を使用する多くの人たちの間で懸念されていた事でした。

その問題を解決したのがイギリスの時計職人であるジョン・ハーウッドと言われています。その後、ロレックスがハーウッドの開発した自動巻き機構を改良し、ローターの回転方向を半回転式から全回転させ、巻き上げ効率を高めることに成功し、その機構のことをパーペチュアルと名付けました。

その後、1950年にロレックスは、パーペチュアル機構に改良を加えることで巻き上げ効率をさらに高めたムーブメント「キャリバー1030」を開発します。そのキャリバー1030開発以降、自動巻きを採用した多くの機械式腕時計が各メーカーから開発されていくこととなったのです。

自動巻き腕時計の魅力

現在では多くの腕時計メーカーが自動巻きの腕時計をベースに製造しています。実際に、自動巻きの腕時計は便利なだけではなく、メリットやデメリットを含めてクォーツ式や手巻式にはない多くの魅力があります。

自動巻き腕時計のメリット

針の滑らかな動作

クォーツ式との一番の違いは、針の動作の仕方です。一般的にクォーツ式の腕時計が動作するとき、秒針は目盛りを一つずつ刻んでステップしていくようにカチ、カチと動いていきますが、自動巻き式は流れるように1秒1秒を針が動いていきます。その滑らかな動作は時計(ムーブメント)によっても異なり、圧倒的な滑らかさをもつGrand Seikoのスプリングドライブの運針は、その動きにうっとりしてしまうほど。例えば、ロレックスなどの機械式時計のスイープ運針を擬音語にすると「チチチ…」といったように動作します。しかし、スプリングドライブの場合は「スー」と音を立てず進んでいくようなイメージで、とても滑らかに動いていきます。

毎日手で巻き上げる必要がなく、精度が安定している

一度リューズを巻いて動作をし始めると、使用しているうちにぜんまいが解けて動力が切れてしまう手巻式に比べて、腕の日常動作による振動でぜんまいが巻き上げられ、自動で動作し続ける自動巻き式は、時刻のズレが発生することが少ないという大きなメリットがあります。

ロマンあふれる手巻き式を好んで愛用する人もいますが、いざ時間を確認する時に正しい時刻でなければ一瞬混乱してしまいますよね。その点、精度が安定している自動巻き式は時刻がズレることが少ないので時刻合わせを高い頻度で行う必要もなく、手軽に使えるのが良いところです。

ちなみに、ワインディングマシンという、使用しない時に自動巻き式の腕時計を保管しておくと、保管中に中で機械が回転して動力を切らさないように維持してくれるような機械も販売されているので、活用してみるのもいいでしょう。

自動巻き腕時計のデメリット

・手巻き式やクォーツ式に比べて分厚くて重たいことが多い

機構がシンプルだったり電池で動作する手巻き式やクォーツ式は軽量であることが多いですが、自動巻きはローターなどの機構が足されることによって時計内部の部品が比較的多く必要になるため、それをカバーする時計のケースなどが分厚かったり重たくなってしまうことが多いです。

近代は技術がどんどん発展しているため、ジャガールクルト等の腕時計メーカーは軽量化やスリム化が進んでいるモデルも展開しています。

メンテナンスコストが高額になる

自動巻き式の腕時計は多くの部品を使用しており、ムーブメントの構造が複雑なため、他の腕時計に比べてメンテナンスやオーバーホールの頻度が高くなります。また、クォーツ式に比べて磁力に弱く、スマートフォン等から腕時計が磁気を帯びてしまった場合は磁気抜きを行う必要があるため、そういった点でもメンテナンス費用が他の腕時計に比べて必要になる場合が多いでしょう。

自動巻き腕時計の正しい使い方は?

自動巻き腕時計は非常に精密でデリケートな作りをしています。使い方が良くないと、故障してしまうことも多いです。初めて自動巻き腕時計を使う人は、正しい使い方を意識して使いましょう。

まず、強い磁気を帯びた物に腕時計を近づけてはいけません。機械式時計は磁気に弱いです。磁気に近づけて、正常に動かなくなってしまうと、磁気抜き修理に出さなければなりません。特に留め具に磁石を使用しているバッグを使っている人は注意しましょう。

強い衝撃や激しい振動なども避けた方が無難です。衝撃や振動で内部の歯車が狂ってしまう可能性があります。自動巻き腕時計を使っている人がスポーツをするときには、腕から外してやるようにしましょう。

また、休日など腕時計を使わなかった日に、腕時計を振る人も多いです。普段腕を動かすのと同じくらいの程度に振る分には問題ありませんが、つい激しく振ってしまう人もいます。無理に激しく振る行為は、スポーツ時の着用と同様に、故障のリスクが高まるため避けましょう。

使わない日がある場合には、リューズの巻き上げと併用するといいです。ゼンマイを最後まで巻くと、止まってそれ以上巻けなくなります。ただ、巻けなくなるところまで毎回巻くと部品が摩耗しやすいです。なるべく少し手前まで止めるようにしておくといいでしょう。

水やお湯にも注意が必要です。高級腕時計のほとんどは防水機能を備えていますが、できれば水に濡らさない方が無難でしょう。リューズに水が入って故障してしまうケースもあります。また、水に濡れても大丈夫な時計でも、お湯に濡れても大丈夫だとは限りません。防水機能が備わっていても入浴時には外しておきましょう。

メンズおすすめの自動巻き腕時計

Grand Seiko スプリングドライブ

グランドセイコーのスプリングドライブは、日差±0.5秒~日差±1秒、平均月差は±15秒という高精度が魅力の「スプリングドライブ」というムーブメントを搭載したモデルです。スプリングドライブとは、セイコーが独自に開発した駆動機構のことで、機械式時計のぜんまいを利用しつつ、クオーツ式時計に使われる水晶振動子によって時計の動きを制御する自己完結型の駆動をする独特のムーブメントのため、自動巻き式とクォーツ式の両方の利点を融合させた革新的な機能性を持っています。

ムーブメントの動作音がとても静かなことも魅力的で、日本の高い技術力が存分に発揮された人気モデルです。

IWC ポルトギーゼ

ポルトギーゼは懐中時計をそのまま腕時計にしたようなデザインが特徴的で、自動巻き式の腕時計の中ではスリムなベゼルでありながら、迫力のある大きなダイアル、細身のリーフ型針やクセのないアラビックインデックスといった、スタイリッシュなデザインが魅力的なIWCの代表的なシリーズです。

ポルトギーゼはインデックスにダイヤ等の装飾があるモデルが少なく、それによって視認性が重視されているので、無駄がなく洗練されたデザインが人気です。

また、多くのモデルは着用者を選ばないユニセックスなデザインであるため、あまり癖がないデザインであることから着用シーンを限定せず、さりげなく身に着けられる高級腕時計としてオススメです。

JAEGER LECOULTRE マスターコントロール

ジャガールクルトのマスターシリーズは、「マスター グランド トラディション」「マスター コントロール」「マスター ウルトラスリム」の3つで展開されているシリーズ。 特徴は、ジャガールクルトが持つ技術力を用いた精度の高さと、分厚くなりがちな自動巻き式の腕時計をスリムな薄型ケースに収めているデザイン性の高さ。 機能面では永久カレンダーやワールドタイムなど、複雑な機構が搭載されたモデルもたくさんあり、ジャガールクルトの持つ技術力の高さを体感できる人気のシリーズです。

レディースおすすめの自動巻き腕時計

Tiffany & Co.イーストウェスト

女性らしいデザインでアクセサリー感覚で着用することができる、ティファニーのイーストウェストは女性にオススメです。時間表示を横向きにして、3と9の数字を大きく表示されている独特なデザインはアメリカで創業されたブランドであるティファニーらしさがあり、ニューヨーカーの「粋」だと言わんばかりの「遊び心」が反映されているような印象でとてもかわいらしいモデルです。

CHANEL J12

CHANELのJ12も女性人気のモデルです。ケースサイズの展開が豊富で、小さめのサイズからユニセックスで着用可能な大き目のモデルまで幅広く展開されていて、丸いフォルムが印象的なデザインに日付表示機能がついた実用的なモデル。ホワイトセラミックの独特な輝きが目を惹くジュエリーのような1本です。ステンレス製で金属アレルギーの方でも着用できるのもうれしい点。また、J12は代表的なカラーもブラック・ホワイトとファッション性の高いCHANELらしさのある展開で、ファッショナブルな時計をお探しの方はぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

自動巻き腕時計の保管方法

自動巻き式の腕時計を外してそのまま置くような形で保管するのはなるべく避けましょう。

腕時計はいくつもの細かいパーツが組み合わさって動作する精密機器なので、長く大事に使うためには日々きちんと保管し、こまめなメンテナンスを行うことで、突発的な故障や消耗を防いでくれます。

腕時計を外した後、その腕時計をそのまま保管してしまっていませんか?普段、1日着用した衣服は沢山汚れがついてしまうため、洗濯して次の衣服に着替えて生活しますよね。腕時計も、1日着用することにより目に見えない皮脂や汚れがたくさん付着しているので、放っておくとケースの錆びの原因に繋がります。そのため、腕時計も外した後は除菌シートや柔らかい布で水分や汚れをさっとこまめに拭き上げるようにし、ワインディングマシンや収納ケースを活用して、なるべく日の当たらない風通しの良い場所に保管するようにしましょう。

自動巻き腕時計のオーバーホール

自動巻き腕時計は非常に長持ちするものですが、定期的にオーバーホールに出さなければなりません。おおむね3年から5年に一度がオーバーホールに出す頻度の目安です。

機械式腕時計は内部に非常に細かいパーツを多数使用しています。長期間使い続けることで、パーツが摩耗してしまうことも多いです。オーバーホールでは、細かなパーツ1つ1つの状態をチェックし、摩耗しているパーツの交換をおこないます。パーツに油を塗ることも、オーバーホールの大事な作業です。

オーバーホールに出さなくても、特に大きな不具合が生じないこともあるかも知れません。中には10年以上も使い続けている人もいるでしょう。しかし、オーバーホールに出さないと、腕時計そのものの寿命を縮めてしまいます。

さらに、油が乾いてしまうため、内部のパーツの動きが悪くなることも多いです。特に実感出来る不具合がなくても、5年に一度は出すようにしましょう。長持ちさせたいのであれば、3年に一度くらいの頻度が望ましいです。オーバーホールに出さずに故障してしまうと、修理代が高くつきます。

オーバーホールにかかる費用は腕時計のブランドやモデルによってまちまちです。国内のブランドはメーカーに出した場合でも費用はそれほど高くありません。1万円前後で済むことが多いです。海外ブランドだとメーカーに依頼するとおおむね2万円から3万円くらいかかります。ブランドやモデルによっては4万円から5万円くらいかかるものもあり、全体的に高めです。

オーバーホールはメーカーに依頼するのが無難ですが、一般の時計店や時計修理店でもおこなってくれます。費用もメーカーより安く、海外ブランドの高級腕時計でも1万円から2万円程度でオーバーホール可能です。ただ、時計店や時計修理店の場合には、技能士の腕に大きな差があり、上手な技能士もいれば経験の浅い技能士もいます。

自動巻き腕時計は装着して状態で腕を動かすと、錘が回転してゼンマイを巻き上げる仕組みです。非常にデリケートな作りをしているので、普段から使い方に注意し、衝撃や強い振動を与えないように注意しましょう。故障の原因になり、腕時計の寿命を縮めることになってしまいます。そして、長持ちさせるには定期的なオーバーホールが必要不可欠です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。メリットやデメリットがありますが、現在は各時計メーカーの技術が発展していることもあって、上述したようなデメリットがないようなモデルの腕時計も数多く存在しています。

また、そのようなデメリットをあえて感じながら日常的に着用することによって、愛着が湧いてくることもあるかもしれませんので、ぜひ一度自動巻き式腕時計の良さを体感してみてはいかがでしょうか。

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