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スケルトン腕時計の歴史と魅力
そもそも「スケルトン」とは、時計の文字盤やケースの一部が透けていて、時計の心臓部ともいえる内部のムーブメントや骨格部分を見える構造の腕時計のこと。
ケースの裏がサファイアガラスになっているタイプは、「シースルーバック」とも呼ばれます。
スケルトンの歴史は意外と古く、発祥は約200年以上前の18世紀のこと。
その歴史には諸説があるのですが、1760年にフランスの時計職であるアンドレ・チャールズ・キャノンが、内部の構造がわかりやすいように懐中時計を作る取り組みを始めたのが最初だといわれています。
スケルトンに関する逸話の中でも、特に有名なのがブレゲによって作られた「ブレゲ No.160」と呼ばれる懐中時計。
これは贅の限りをつくしたフランス国王ルイ16世の王妃、マリーアントワネットの「世界一美しい時計を作って欲しい」という望みに答えて、1783年に生み出されました。
天才職人であるブレゲにとっての時計に求める美しさは、機能美。
そのためもともとは外見の美しさではなく、技術の粋を詰め込んだ複雑機構の時計を作ろうとしました。しかし、構造が複雑になればなるほど部品数が多くなり、パーツの動きが悪くなることに。
これを克服するためにブレゲがとったのが、各パーツの不要部分を抜き出し、スケルトン化すること。
こうして生み出されたNo.160は文字盤全体が透ける美しいデザインに。はからずしも悲劇の美貌の王妃にふさわしい時計と一躍注目を集め、腕時計にもスケルトンが広がっていったのです。
むしろ大事なムーブメントを衝撃や劣化から守るためにも、堅牢なケースに完全に閉じ込めておいた方が良いだろうと思われるのですが、なぜスケルトンには人気があるのでしょうか。
それは見た目の美しさとおもしろさ、そして内部の動きをダイレクトに見ることができるという実用性があるからでしょう。
衣類やバッグなどのファッションアイテムにもスケルトンと呼ばれるものがありますが、やはり本来見ることができない部分を透かして見えるということには、ドキドキ・ワクワクした喜びがあります。
腕時計の場合は輝く金属パーツが緻密に動くことで繊細な美を醸し出すので、その人目を引くおしゃれさがあることはいうまでもありません。
しかも、スケルトンモデルは内部のゼンマイの巻き具合や歯車の動きを直接見ることができるので、時計が正常に機能をしているかを確認しながら、安全に使うことができるのです。
時計の構造をよく理解して楽しむためにも、時計好きならぜひ1本、スケルトンの腕時計をコレクションに加えておくことをおすすめします。
スケルトンの腕時計~HAMILTON~
数ある知名度の高いスイス時計ブランドの中でも、スケルトンモデルを数多くリリースしているのは、ハミルトンでしょう。
アメリカ生まれのスイス時計という独特の経歴を持ち、独創的なデザインと比較的お手頃価格で若者に圧倒的な人気を誇るハミルトンの中でも、特におすすめのスケルトンモデルの腕時計2つをご紹介していきましょう。
ハミルトン カーキフィールド スケルトン H72515585
カーキフィールドはハミルトンの中でも人気のミリタリーモデルですが、シリーズ初のフルスケルトンとなるのがこのH72515585。
ハニカム構造のおしゃれな文字盤を透かしてムーブメントをのぞかせた大胆なデザインと、シルバーとブラックの鮮やかなカラーコーディネートは、ミリタリーとは思えないおしゃれさで人気を集めています。
ハミルトン レイルロード スケルトン H40655751
鉄道公式時計であったハミルトンの時代を象徴する名前を持つモデルで、文字盤中央が完全に透ける仕様になっていることで、リズミカルなテンプの動きがしっかり見えます。
輝くホワイトシルバーのケースに黒色のカーフレザーブレスレットを合わせた、シックで落ち着いた雰囲気の大人のスケルトンです。
スケルトンの腕時計~ZENITH~
スケルトンに魅力を感じる時計好きなら、ぜひもっておきたいのがゼニスでしょう。
スイスの高級時計ブランドの中でも、ゼニスはケースから内部のムーブメントまですべてを自社で開発・製造をするマニュファクチュール。
スケルトンモデルであれば、その精巧に作られたムーブメントの動きをつぶさに目で見ることができます。
ゼニスの特におすすめのスケルトンモデルの腕時計を、2種類ご紹介していきましょう。
エル・プリメロ クロノマスター オープンモデル
ゼニスの代名詞ともいる自動巻クロノグラフムーブメント「エルプリメロ」を搭載したシリーズの中でも、クロノマスターはよりエレガントな仕上がり。
文字盤全体が透けるのではなく、部分的に開けた窓からだけ高速振動するテンプや輝くガンギ車が見えます。スケルトンでも浮ついたところがなく、大人の男がもつにふさわしい時計です。
デファイ エル・プリメロ 21
エル・プリメロの中でも、全く新しい1/100 秒計測のクロノグラフムーブメントが文字盤から透ける、フルスケルトンモデル。
堅牢なブラックセラミックをケースに使い、文字盤のマットなブラックとグレーの2色使いのカラーコーディネートが現代的なのですが、アリゲーターレザーコーティングのブラックベルトとあわせているので、高級感も醸し出しています。
まとめ
堅牢なケースやクリスタルに守られたムーブメントは、まさに時計の心臓部。
その大事な部分を目にすることで、目には見えないはずの時の流れを感じ取れる、スケルトンにはそんな男心をくすぐるロマンがあるのかもしれません。
腕時計にはムーブメントの構造によって機械巻きに自動巻き、クオーツタイプとさまざまなタイプがありますが、どれも格段の美しさ。
特にレディース用のスケルトンはより繊細で、はかない美しさが強調されておしゃれだと、ファッションに敏感な女性からも喜ばれます。
時刻を知らせて役に立つだけでなく、見る目も楽しませてくれるスケルトンの腕時計。