『カンパノラ』は、『時を愉しむ』をブランドコンセプトに掲げ、独創的な機能と「宙空の美」をデザインコンセプトに、立体的な表情が魅力の腕時計ブランドです。
『カンパノラ』の特徴は、なんといっても一目でわかるほど情報量が豊富な文字板です。
今回カリトケでは、『カンパノラ』の腕時計を手掛けた開発陣にインタビューを行いました。
ここでしか聞けない『カンパノラ』の魅力と、オススメのコレクションについてご紹介いたしますので、ぜひご覧ください。
『カンパノラ』とは?
『カンパノラ』は、2000年に誕生した腕時計ブランドです。
ブランドコンセプトは、『時を愉しむ』、『日常を愉しむ』、「個性を愉しむ』。
単に時刻を知るためだけのものではなく、その人のスタイルをも表現し、手にする人とともに豊かな時間を紡いでゆくことができる腕時計です。
『カンパノラ』の歴史について
『カンパノラ』の名前の由来は、南イタリアのカンパニア州にあるノラという街にルーツがあります。
ノラにある教会の鐘は、歴史上初めて人々に時刻を知らせる鐘として機能し、その町に住む人々の生活習慣を作っていったと言われています。
その鐘が「カンパノラベル」と呼ばれていたことから、その鐘に敬意を表し、その名をつけました。
2000年にデビューした『カンパノラ』ですが、その初代モデルは多くの時計好きを驚かせました。
クォーツ式であるにも関わらず、複雑機構であるパーペチュアル・カレンダー機能を搭載していたのです。
元々クォーツ式に複雑な機構を搭載することは技術的に難しく、シンプルな機能のみのモデルが多かったのですが、『カンパノラ』はその常識を覆しました。
機械式でしか存在していなかった機能を利便性の高いクォーツ式の腕時計に搭載することによって、独自の価値を持たせることを可能にしたのです。
2014年にはスイス ラ・ジューペレ社製機械式ムーブメントを搭載した『メカニカル コレクション』を展開し、現在は
・パーペチュアルカレンダーやミニッツリピーター、クロノグラフなどの複雑機構を搭載した「コンプリケーション コレクション」
・文字板に天空を再現した「コスモサイン コレクション」
・光のエネルギーで駆動する「エコ・ドライブ コレクション」
・新月から満月まで、月齢を表示する「ムーンフェイズ コレクション」
5つのコレクションを展開しています。
随所に感じるこだわり
『カンパノラ』のデザインコンセプトは「宙空の美」。
ガラスに遮られたわずかな空間の中にあるパーツの一つ一つが組み合わさって、無限の宇宙を表現しています。
文字板にはサークル形状の五徳リングなど、パーツを組み合わせた多層構造になっており、まるで建築物のように立体的な表情を醸し出します。
多層構造の文字板は電気鋳造という技法を用いており、非常に精密で細かい凹凸の表現が可能です。
また、日本の伝統工芸を代表する技術である漆塗りを何層にも施し、独創的な時の愉しみ方を追求しています。
このように、各パーツは職人の手で丁寧な装飾や仕上げが施され、手作業によって組み立てられているのです。
そんなこだわりの詰まった当時の『カンパノラ』を知る方々に、開発秘話やこだわりの部分など、様々なお話を伺いましたので、ご紹介いたします。
(写真左:シチズンミュージアム 木崎さん
中央:シチズン チーフデザインマネージャー 榎本さん
右:シチズンミュージアム館長 髙橋さん )
開発秘話について
<どのような経緯で開発に至ったのでしょうか?>
髙橋:ミレニアムとなる2000年に合わせて開発を行いました。
ただ時間を見るだけではなく、日常や個性を愉しんでもらうことを目的に、複雑機構のムーブメントをクォーツで再現し、開発しました。
ガラスに遮られたわずかな空間に、無限の宇宙を閉じ込める。
さまざまなパーツを組み合わせた多層構造と、建築物のように立体的な表情の文字板のデザインが宇宙を表現しています。
榎本:時計自体、3-4cmの中にいろいろな歯車を組み合わせて、円運動で動作しているんですよね。
地球から見た星も同じように円運動しているので、宇宙を時計の中で表現しようという新しいコンセプトを持った商品として開発しようという方針となり、企画・技術・デザイナーが集まって、合宿をしました。
それぞれの職種でできること、やりたいこと、実現できないことをぶつけ合い、少しずつ形になっていき、開発が進んでいきました。
<漆を使うなど、随所に日本の伝統的な技術を採用していますね>
髙橋:「宙空の美」というコンセプトを表現するために、日本の伝統工芸の技術が適していました。
榎本:ただ、漆は英訳するとジャパニーズラッカー(樹脂)となり少し違うニュアンスで受け取られてしまい、最初のうちは海外の方に漆がどういうものか理解されにくく、広がるのに時間がかかりました。
<開発時、どのようにデザインを考案したのでしょうか?>
榎本:自分が時計の中に入った時に自分の周りにどのような構造物があると面白いか?ということを考えました。
実は、私の学生時代に原体験があります。ある時、アイデアが浮かばないときに気分転換に東京ディズニーシーに行きました。
色んなアトラクションや鉄骨などを見上げた時に、大きなアミューズメント施設の中にいる自分自身を俯瞰して見たことがありました。
この経験を参考に、自分が今時計の文字板の中心にいるとすると、自分の周りにどのような空間が広がったら魅力的になるかを想像して、『カンパノラ』のデザインを組み立てていきました。
<大変だったことや苦労したことがあれば聞かせてください。>
榎本:「コスモサイン コレクション」の星座盤モデルの文字板は、14もの印刷工程を経てようやく1つの部品として完成しています。
この工程は、もし最後の部分でミスをしてしまうと部品としては使用できないので、とても手のかかる繊細なものになっています。
非常に細密な印刷を施しているので、検品も双眼顕微鏡を使用しており、慎重な作業が必要になります。
パーペチュアルカレンダーとミニッツリピーター
<パーペチュアルカレンダーをなぜ搭載したのでしょうか?>
木崎:『カンパノラ』のパーペチュアルカレンダーというのは、西暦2000年を境に、前後100年の中から1日を自由自在に設定して呼び起こすことができる機能なんですよね。
「時を愉しむ」という『カンパノラ』のコンセプトを考えると、"自分の生まれた誕生日は何曜日だったのか"、"この日にはこんなことがあったなぁ"というように、思い出をなぞるようにタイムトラベルをして、時間旅行を楽しんでもらいたいというものがありました。
榎本:うずまき状になっているデザインも他にあまりなく、宇宙空間=時間の渦というイメージもぴったりで、『カンパノラ』にしかない魅力的なデザインになっていると思います。
<ミニッツリピーターの音も製作されたんですか?>
木崎:これはデジタル時計のアラームのような電子音ではなく、裏蓋の金属を振動させて自然に近い音を奏でます。
水琴窟の音や、日本で獲れるサヌカイトという石から鳴る音がすごくいい音で、最初はそれをイメージして作っていました。
自然の音を再現しようと思うと、音の余韻を再現しなければならないので、すごく難しいんですよね。
ただ、時刻を知るだけではなく"時を愉しむ時計"なので、音にもこだわって、これまでになかった工夫を盛り込みました。
<こんな人に使ってほしいなどの、思いがあればお伺いできますでしょうか。>
榎本:"人にこう見られたい"というよりも、自分が良いと感じるものを身に着けたいという動機で手に取ってもらいたいです。
髙橋:確かにそうですね。
人に見せるというよりも自分自身が楽しむための時計だと思います。
『カンパノラ』コレクションのご紹介
『カンパノラ』のコレクションとオススメのモデルについてご紹介します。
コレクションごとに特色があり、それぞれ表情の異なる魅力的なデザインですので、ぜひご覧ください。
コンプリケーションとは、高度な技術によって作られている複雑な機構を搭載している時計を指します。
このモデルはクォーツ式でありながら、機械式でしか実現できなかった複雑機構のパーペチュアルカレンダー機能を搭載しているモデルです。
クリーンなホワイトベースのカラーリングで、日常使いしやすいデザインになっています。
パーペチュアルカレンダー機能は、西暦2000年を境に、前後100年の中から大切な1日を自在に呼び出すことができます。
パーペチュアルカレンダー機能の中核となる年表示部分がドーム状になっており、滑らかな曲線と浮かんでいるように見える針が、自由に過去や未来を行き来して時間旅行へ連れて行ってくれます。
ぜひ、過去の時間に合わせて、当時の思い出を振り返ってみてください。
自動巻き機構を搭載した機械式クロノグラフモデルです。
スイスのラ・ジュー・ペレ社製の機械式ムーブメントを採用しています。
文字板中央部分は細かいパターンで和紙を、その周りには電気鋳造で日本庭園の枯山水を表現しています。
クラシカルな雰囲気なので、ワニ革のレザーベルトと合わせることにより、ビジネススタイルを更に上品に格上げしてくれます。
日本らしい繊細なデザインとスイスの機械式ムーブメントが融合した重厚感ある時計を、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
天に満ちる星=天満星の名前の通り、宇宙の壮大な風景を文字板全体で表現しているモデルです。
光のエネルギーで発電するエコ・ドライブムーブメントを採用しつつ、トリプルカレンダー機能とムーンフェイズ機能を搭載しています。
太陽の輝きを表す12時位置のサブダイヤルは、電気鋳造で細かなパターンを表現。
6時位置のサブダイヤルは、手作業で塗り重ねた漆に金粉を蒔き、宇宙船の窓から見た星空を表現しています。
重厚感のある美しい文字板と、相性の良いワニ革のレザーベルトを組み合わせているため、オンシーンにもオススメです。
スーツやジャケットに合わせて、ぜひいかがでしょうか。
北緯35度の恒星452個、星雲・星団119個の全天星座を文字板内に、精密に表示しているモデルです。
コスモサインの星座盤は、時刻にあわせて時計と逆まわりに回転し、リアルタイムの星座を示してくれます。
ケースサイズは39mmとやや小さく着けやすく、星座盤をシンブルに眺められるモデルです。
文字板と同系色のレザーベルトと合わせることで、より一体感のある印象に。
まるで、コンパクトなプラネタリウムを腕に着けているようなワクワク感があり、常に星空を感じることができるロマンチックな時計です。
気になる方は、ぜひ試してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
『カンパノラ』の腕時計は、単に時間を知るための道具としてだけではなく、『時を愉しむ』、『日常を愉しむ』、『個性を愉しむ』をコンセプトに、1本の時計を心から愉しむことができるような機能とこだわりがたくさん詰まっています。
天文学が好きな方、上品な時計をお探しの方、腕時計を心ゆくまで楽しみたい方は、ぜひ一度試してみてください。