ミドルサイズの38.7mmとか細腕には合わないんじゃないか?という思い込みを、ケースデザインの秀逸さで軽くひねり吹き飛ばすほどの地力を持つこのデ・ヴィル。マジで実力に感服しました。『ゴールドが〜』とか『コンプリケーションが〜』という派手な目立ちではなく、世界のトップメーカーにしか出し得ない正統な実力が腕元から漂います。時計はスペックのみにあらずという名言が思わず口をついて出るような、このデ・ヴィル。15年以上前の発売モデルでありながら、なぜこんなにホワイトダイヤルは美しく輝くのでしょう?316ステンレスでありながら、なぜケースの照りがこんなに華やかなのでしょう?8K超高性能カメラですら、この時計の凄味を写し出すことは難しいんじゃないかと思います。腕につけていればぐんぐん巻き上がる驚異の巻き上げ効率や、このデ・ヴィルより軽い時計よりも疲れない重量バランス、コーアクシャルで10年ノンメンテナンスかつ高耐磁性なムーブメント、ドレスながら100m防水など、可視化できないパラメーターは、抜かり無い仕事・手を抜かない作業の成果に他なりません。私ごとで恐縮ですが、細腕のため36mm以下しか似合わないと思っていたにもかかわらず、お借りして以来こちらのデ・ヴィルばかり着けています(笑)。今回は小径モデルと勘違いしてたまたまお借りしたのですが、こういう思わぬ素敵な時計との出会いも、またKARITOKEさまの醍醐味なのかなと思います。とにもかくにも、『OMEGAの実力、しかと承った!』という、貫禄たっぷりのデ・ヴィルです。